持続化補助金 第20回公募 | 申請にむけて今すぐ確認すべきこと
持続化補助金の公募要領が公開されました
小規模事業者持続化補助金(以下「持続化補助金」)の第20回公募に向けた公募要領が、先月27日に公開されました。
申請受付期間は 2026年11月5日〜2026年12月15日です。公募開始まで約5か月という余裕のあるタイミングでの公募要領の公開となりました。
「まだまだ先の話」と感じる方もいるかもしれませんが、この5か月で何をどう取り組むかが採択結果を大きく左右します。
公募要領が公開された今のタイミングで、制度の全体像を正確に把握しておきたいと思います。
補助金額:50万円~最大250万円
通常枠の補助上限は、これまでどおり 50万円(補助率2/3) です。
「思ったより金額が少ない」と思われる方もいると思いますが、2つの「特例加算」を活用することで補助上限が大幅に引き上がります。
インボイス特例と賃金引上げ特例の両方に該当する場合、補助上限は最大250万円になります。
さらに、赤字事業者(直近1期の課税所得がマイナス)が賃金引上げ特例を受ける場合、補助率が通常の2/3から 3/4 へ引き上がります。
賃金引上げ特例とは
2つの特例のうち、まず、金額のインパクトが大きい賃金引上げ特例についてご説明します。
公募要領には次のように記載されています。
「2027年4月1日から補助事業実施期限日(2028年3月31日)までの期間と前年同月の12か月を比べ、従業員(非常勤を含む。代表者、役員及び専従者は含めない)1人あたり給与支給総額が年平均3.0%以上増加した事業者に対して支援します。」
時給や月給の単価ではなく、従業員1人あたりの「給与支給総額」の年平均増加率が判定基準です。
イメージ(従業員3名の場合)
・2026年4月〜2027年3月の従業員3名への給与支給総額合計:600万円(1人あたり年200万円)
・3.0%以上増加後:1人あたり年206万円以上(合計618万円以上)を、2027年4月〜2028年3月に支給すること
代表者・役員・専従者は計算対象外です。アルバイトや非常勤従業員は含まれます。
しかしながら、賃上げ計画を提出したものの採択後に実際に達成できなかった場合は、補助金の交付がされませんので注意が必要です。
近年、人件費の上昇は中小企業・小規模事業者にとって最大の経営課題のひとつになっています。
厚生労働省の調査では、2026年の総人件費は前年比で平均4.5%超の上昇が見込まれています。
また、最低賃金は政府目標として2029年度までに全国加重平均1,500円を目指す方針が示されており、賃上げの流れは今後も続く見通しです。
今後も見込まれるであろう賃上げへの取り組みを、補助金申請の特例要件と連動させることで、補助上限をアップした申請を行うことも戦略のひとつと言えます。
インボイス特例とは
インボイス特例の適用条件についても、正確に確認しておくことが必要です。
公募要領の定義は次のとおりです。
「2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった事業者、または2023年10月1日以降に創業した事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者」
ポイントは2点あります。
既存事業者の場合:2021年9月30日〜2023年9月30日の間の課税期間に「一度でも免税事業者だった」ことが条件です。この期間に免税事業者として事業を行い、その後、補助事業終了の時点でインボイス発行事業者として登録されている方が対象です。
創業者の場合:2023年10月1日以降に新しく創業した事業者で、補助事業終了の時点で適格請求書発行事業者の登録されている方も対象となります。創業当初から課税事業者として登録したケースでも、この特例の適用を受けられる可能性があります。
逆に、既存事業者の方で、2021年9月30日以前から継続して課税事業者だったというような方は対象外となります。
商工会議所への依頼
持続化補助金は、申請者が属する商工会または商工会議所が発行する「事業支援計画書(様式4)」の提出が必須となります。
この様式4の発行依頼の締切日は、第20回公募の場合、2026年12月4日(申請締切の11日前)です。
申請に向けてのスケジュールの例としては以下のようになります。
「まだまだ先のことだし、12月に間に合えばいい」と考えていると、締切近くになって商工会・商工会議所の予約が取れない、事業計画書が完成していない、という状態に陥りがちです。
「事業支援計画書」を発行してもらえる商工会・商工会議所は、事業所の所在地によって異なりますので、今のうちに確認をしておくと安心です。
今すぐ「GビズIDプライム」のアカウント取得を
持続化補助金の申請は電子申請システムのみで受け付けており、電子申請には「GビズIDプライム」のアカウントが必要です。
GビズIDプライムの登録から取得完了まで、最長で2〜4週間かかります。(マイナンバーカードを取得していない場合)
公募開始後に申請しても間に合わない場合もありえます。
GビズIDは無料で取得でき、他の補助金申請でも共通して使うアカウントです。
まだ取得していない方は、GビズID公式サイト(デジタル庁)にて今すぐ申請しておきましょう。
採択率の現実
直近の採択率を見てみると、第17回では51.1%、第18回では47.5%となっています。
つまり、申請者の約半数は不採択となるのが現実です。
提出書類に不備がなく要件を満たしていても、事業計画書の内容が基準に達していなければ採択されません。
審査で評価されるのは以下の要素です。
・自社の強み・弱みの分析が具体的かつ客観的であるか
・補助金で取り組む事業が、経営課題と論理的に結びついているか
・ターゲット顧客・市場が明確に定義されているか
・補助金投資の効果が数字で示されているか
上記の評価項目に合うように、事業計画書を論理的に組み立てながら作成するのには時間がかかります。
締切直前にあわてて書いた計画書と、数か月をかけてじっくり練り上げた計画書では、採択結果に非常に大きな差が出ます。
公募要領が公開された今が「スタートライン」
持続化補助金への申請にあたり、いまの時点で確認しておくべきポイントを整理します。
・自社はインボイス特例の対象になるか?
・賃金引上げ特例の3.0%増加の達成は現実的に可能か?
・GビズIDプライムは取得済みか?
・相談すべき商工会・商工会議所はどこか?
今がまさに動き始める適切なタイミングです!
これらの確認ポイントを含め、持続化補助金への申請についてお気軽にお問合せください。
ゆるゆると奥多摩ツーリング
週末は天気がよかったので、久しぶりにカブでどこかに行きたくなり、奥多摩湖まで行ってきました。
新青梅街道をひたすら西へ西へと走ったのですが、休日の午前中は道も混んでいたこともあり、青梅までたどり着くのに2時間。
青梅から奥多摩湖までの上りの山道は、新緑を眺めながらゆるゆると走って快適なツーリングでした。
カブは馬力も小さいのでたいして速く走れませんが、ゆるーく走っても楽しい&燃費もいいのが最高です。
奥多摩から檜原村へ抜ける奥多摩周遊道路はけっこう本気めのライダーの人たちが多いので、そちらには行かずに奥多摩湖畔で休憩してUターン。
小河内ダムは写真のとおり結構水の量が少なかったので、水不足が心配です。
これから暑さが本格的になってきますが、空梅雨にならないことを祈りたいです。
AIエージェントが小規模事業者の経営を変える理由
「ChatGPTとの会話」からその先の世界へ
「ChatGPTは使ってみたけれど、思ったような回答を得られないし、毎回指示を入力するのが面倒で続かなかった」
現在多くの人が使っている対話型生成AIは「呼びかけたら答える」という形です。仕事を任せるというより、必要な都度質問に答えてくれるアシスタントに近いものです。
しかし、「AIエージェント」と呼ばれる自律型AIが実用段階に入り、中小企業・小規模事業者の経営のあり方に大きな影響を与え始めています。
AIエージェントとは何か、実際にどんな業務に使えるのか、そして「小さな会社こそ恩恵が大きい」理由についてお伝えしたいと思います。
AIエージェントとは
従来の対話型生成AI(ChatGPT等)と、AIエージェントの違いを一言で言えば、「呼んだら答える」か「指示したら動いてくれる」かの違いです。
対話型生成AI(例:ChatGPT)
・人がメッセージを入力するたびに動く
・1回の会話で完結する範囲で処理
・依頼の仕方「この文章の誤字を直してください」
AIエージェント(例:Claude Cowork)
・「〇〇をやっておいて」と依頼すれば自律的に実行
・カレンダー・メール・会計ソフト・クラウドストレージ等と直接連携
・依頼の仕方「来週の〇〇様の訪問前に、過去の商談メモを確認したうえで、提案資料の骨子を作ってください」
AIエージェントは「複数の作業を順番・並列につないで最後まで実行できる」点が最大の特徴です。人間が都度指示を出さなくても、与えられた指示に従って自律的に動きます。
しかしながら、同じように会計処理や業務管理を行うITシステムは数多く存在しており、いまも企業における仕組み・ツールとしては主流となっています。
これまでとの最大の違いは、システムを動かすアプリケーションを作成するのにプログラミング言語による開発が必要だったものが、AIが自然な言語による指示を解釈して処理を行ってくれるという点です。
つまり、プログラムを開発しなくても、「何を・どのように処理させたいか」という仕様を明確に決めて指示文を作成しておけば、AIが処理できるようになるということです。
AIエージェントによる業務の例としては、下記のようなものがあります。
飲食業・サービス業
- Googleビジネスプロフィール・食べログの口コミへの返信文の自動下書き
- 食材の発注数量の提案(前週の販売実績と天気予報を組み合わせた予測)
- スタッフシフト調整のメール・LINE文面の作成
- インスタグラム投稿の文章生成と投稿スケジュール管理
小売業・EC事業者
- 在庫の滞留アラートと売り切り促進セールの提案
- 顧客からの問い合わせメール・チャットへの一次返信
- 月次売上レポートの自動生成と前月比・前年比の分析
- 商品説明文・LP(ランディングページ)文章の生成
建設業・製造業
- 見積書の下書き作成(仕様や単価の入力補助)
- 工程進捗レポートの自動生成
- 発注・納品メールの処理と一覧管理
これらの業務は、経営者や従業員の方々が時間を割いて行うか、外部への委託が必要でした。
それがAIエージェントによって、「エージェントの初期セットアップ」と「毎月のサブスクリプション費用」で代替できる時代になろうとしています。
「小さな会社こそ恩恵が大きい」理由
AIエージェントの効果を強く実感できるのは、大企業よりも「従業員数名〜数十名の中小企業・小規模事業者」だと言われています。その理由は3つあります。
① 経営者が担っている業務の幅が広い
大企業には営業、経理、総務、マーケティングとそれぞれ専門の担当者がいます。
しかし小規模事業者では、経営者自身がこれらすべてを兼務していることが珍しくありません。
繰り返し発生する定型業務(請求書の処理、メール返信の下書き、日報・月次レポートの作成など)をAIエージェントに処理させることで、「人間にしかできない案出し・交渉・判断や創造的な仕事」の時間を生み出すことができます。
② 人手不足の影響
2026年の有効求人倍率は高水準が続いており、特に飲食業・サービス業・小売業での採用難は深刻です。
「採用できないなら、AIで補う」という発想が現実的な選択肢になっています。
AIエージェントは「辞めない・休まない・育成コストがかからない」という点で、人手不足対策の新しいアプローチです。
③ 業務の「AI内製化」へのコスト構造の転換
外部委託は仕事の内容が変わるたびに追加費用が発生します。
一方、AIエージェントは月額数千円〜数万円の利用料金で、幅広い業務に応用できます。
導入当初の設定に手間はかかりますが、一度動かすことができれば後は繰り返し業務を行わせることができます。
導入に向けた3つのステップ
AIエージェントの活用を検討する際、いきなりすべての業務でAIエージェントを導入するといったやり方はお勧めしません。
以下の3ステップで段階的に始めることをお勧めします。
Step 1:「時間がかかっている繰り返し業務」を洗い出して作業内容・フローをまとめる
自社の業務の中で、毎週・毎月必ず発生するのに「誰でもできる、あるいはパターンが決まっている」業務をリストアップします。
これがAIエージェントの第一の候補になります。
ただし、意図したとおりにAIに処理をさせるには、「何を・いつ・どのように・どうやって」行うのかについての仕様を明確にした上で指示書を作成する必要があります。
また、自分では当たり前と思っていることもAIにとっては全く知識がないことなので、「なぜ」その処理を行う必要があるのか、何が目的なのか、といった背景情報も指示書に書いておいてあげる必要があります。
Step 2:低コストのAIツールで小さく試す
Claude Cowork等を使って、Step 1でリストアップした業務の中からまずは一つだけ試してみます。
「完璧にはできなくても、下書きを作ってもらうだけで、メールの返信が30分から5分になった」という実感があれば、AI活用が自社にとって価値があると理解できます。
Step 3:補助金を活用して本格導入を検討する
小さな試みで手応えを感じたら、「デジタル化・AI導入補助金」などの国や自治体の補助金・助成金を活用して、より本格的なシステム化を検討します。
この段階では専門家への相談が有効です。
まとめ
インターネット・スマートフォンが登場したとき、「これは大企業のためのもの」と思っていた方も多いと思います。
しかし今では、SNS・ECサイト・クラウド会計といったものは小規模事業者にとっても当たり前のツールになっています。
AIエージェントは、その「第二波」とも言えます。
AIエージェントやその連携先となるITツール(SaaSやソフトウェア)の費用は、「デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)」の補助対象となる可能性があります。
「まず何から手をつければいいかわからない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
現在の業務の棚卸しから、補助金の活用まで、一緒に考えます。
「事業を継いだ後」を支援する ー 東京都の成長支援助成金
「継いだはいいが、どうするか」——後継者が直面する本当の課題
事業承継という言葉を聞くと、多くの人は「事業を後継者にどう引き渡すか」「株式や財産をどう引き継ぐか」という場面を思い浮かべると思います。
しかし、事業を引き継いだ後継者の方々は違った悩みを抱えていらっしゃいます。
「親の代の商売をそのまま続けるだけでいいのだろうか」
「設備も古くなってきた。新しい事業に踏み出したいが元手が心もとない」
「自分の代で何か変えないといけないと思っている」
実際のところ、事業承継は「区切り」ではなく新しい「出発点」といえます。
しかし、その出発点に立った後継者が次の新しい一歩を踏み出すための支援は、それほど知られていません。
今回は、東京都中小企業振興公社の「事業承継を契機とした成長支援事業」についてご説明します。
事業承継の次のステージへ——課題は「承継後の成長投資」
帝国データバンクの2025年調査によると、全国の後継者不在率は50.1%となりました。前年(2024年)から2.0ポイント(pt)低下し、7年連続で前年の水準を下回っています。
官民の相談窓口が普及するなど、事業承継の重要性が広く浸透してきたことで、後継者不在率は数字上は年々改善はされてはきています。
一方で、後継者が決まり承継を済ませた企業では、「承継後の成長投資」が課題になっています。
親の代から続く事業を変えることの心理的ハードル、手元資金の制約、従業員の反応への懸念——こうした要因が重なり、承継後も変化に踏み出せないままとなってしまうことがあります。
京都中小企業振興公社から、そうした「動きにくさ」を解消する制度が発表されました。
「承継後の一歩」に最大800万円の助成
令和8年度申請受付期間:
第一回 5月18日(月) 〜 6月17日(水)16:00まで
第二回 9月1日(火)~9月30日(水)16:00まで
東京都中小企業振興公社が実施するこの助成金は、事業承継を経た後継者が取り組む「新規事業展開」に対して、設備導入費・システム導入費・販売促進費などを幅広く支援します。
<助成の概要>
助成限度額:
800万円
助成率:
(原則) 助成対象経費の3分の2以内
(賃上げ計画を策定・実施する事業者) 4分の3以内
(上記のうち小規模事業者) 5分の4以内
原則は3分の2の助成率ですが、賃上げ計画を加えた場合は4分の3、さらに小規模事業者であれば5分の4まで上がります。
つまり、100万円の投資に対して80万円が助成される計算となり、小規模事業者をより優遇する制度となっています。
対象となる取り組みの例
この助成金が対象とするのは、承継後の経営者が取り組む「新規事業展開」です。
「新規事業」と聞くと敷居が高く感じるかもしれませんが、必ずしもまったくのゼロから始める事業である必要はありません。
公社が示している取り組みの例として、以下のようなものが挙げられています。
- 業務用空気清浄機の製造会社が、家庭用の小型製品を開発して新市場に参入する
- 美容室が写真館を隣接して新設し、セットメニューとして提供する新サービスを始める
- 既存顧客への業種外サービスを新たに立ち上げ、収益の柱を増やす
「先代とは違う顧客に、あるいは違う価値を、新しい形で届ける」取り組みが対象といえます。
後継者が「自分の代でやりたいこと」を形にするためのお金、と考えるとイメージしやすいでしょう。
対象経費の広さが使いやすい理由
この助成金の実用上の強みは、対象となる経費の範囲が広いことです。
- 機械装置・工具器具費
- 設備等導入費
- システム等導入費
- 委託・外注費
- 販売促進費
- 専門家指導費
- 不動産賃借料(新事業用のスペース)
新規事業の立ち上げに必要な設備・IT・広告・専門家活用まで一括して助成対象になるため、「何のためのお金か」を事業計画として整理できれば、申請の実用性は高いと考えられます。
事業承継は、引き継いで終わりではなく「引き継いだ後からが本番」と考えると、「事業承継を契機とした成長支援事業」制度は強力な武器となります。
まとめ
承継を済ませた後継者には「継いだ後の事業をどのように進めるか」という次の課題が待っています。
成長投資の機会を逃さないためには、制度の動きをタイムリーに把握し、自社の状況に合わせて活用の可否を判断することが出発点です。
なぜ「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金」に変わったのか ー 改称が示す中小企業DXの分岐点
2026年度から、「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金」へと名称が変わりました。
この新しい名称への変更は単純なリニューアルではなく、背景には国から中小企業に向けたメッセージが含まれています。
どう変わったのか、この変化をどう経営判断に活かすべきか、という観点から解説します。
なぜ改称したのか:国が示した"もう一段先"のDX
中小企業庁は、改称の理由をこう説明しています。
「昨今の生成AIを始めとするAI技術の急速な進歩・活用状況を踏まえ、ITツールの導入にとどまらず、より踏み込んだデジタル化の推進及びAIの活用が重要であることを広く周知する観点から、補助金の名称を変更した」
注目すべきは「AIの活用が重要であることを広く周知する」という表現です。
これまでの一般的なIT化における会計ソフトや業務管理ツールの導入というだけでは、もはや「デジタル化」とは言えない状況であることを、補助金の名称が宣言しているとも読めます。
この改称は2025年12月に閣議決定された「AI基本計画」と連動しています。
計画では、日本を「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」にすることを目標に掲げており、中小企業へのAI活用支援を重点政策の柱の一つと位置づけています。
これは「AIを使うかどうか」を中小企業経営者の各々の判断に任せていたところから、「補助金でサポートしてでも推進すべき国策」へと格上げされたことを意味しているといえます。
旧IT導入補助金との実質的な違い
名称が変わっただけで中身は同じではないかと思われるかもしれません。
しかし、いくつかの重要な点で制度の方向性が変わっています。
| 比較項目 | 旧IT導入補助金(~2025年度) | デジタル化・AI導入補助金2026 |
|---|---|---|
| 補助の主眼 | ITツールの「導入」 | デジタル化の推進 + AI活用の定着 |
| AI関連ツール | 対象ではあるが明示的ではない | 対象として明確に位置づけ |
| 重視する成果 | 導入完了 | 業務改善・活用・定着まで見据えた取り組み |
| 補助対象ツール例 | 会計・受発注・給与ソフト等 | 従来ソフト + AI機能搭載ツールを明確化 |
特に「業務改善や活用・定着までを見据えた取り組み」が重視されるという点に注目すべきです。
「とりあえずツールを導入する」というだけの申請は、今後は採択されにくくなる可能性があります。
何のためにデジタル化を行いAIを導入するのかという、業務改善のストーリーをきちんと説明できていることが問われることになります。
「導入をしない」選択のコスト
とはいうものの、「うちの規模でAIを使う必要があるのか」「どこから手をつけたらいいかわからない」「今の業務でも回っているから」とおっしゃる方も多いです。
しかし現実問題として、大きな圧力が事業者の方々を同時にかかっています。
圧力①:人件費の上昇は止まらない
東京都の最低賃金は2025年10月に1,226円(前年比5.4%増)まで上昇しました。
国は「2030年代半ばまでに最低賃金1,500円」を政策目標として掲げており、賃金上昇の流れは今後も続く見通しです。
また、2026年10月の制度改革により社会保険の適用拡大(いわゆる「106万円の壁」の撤廃)が予定されています。
従業員数51人以上の企業では週20時間以上働くパート・アルバイトは社会保険の加入対象となり、採用コストもさらに増す見込みです。
圧力②:人が採用できない状況が長期化している
帝国データバンクの調査では、対象企業の 52.3%が正社員不足と回答しています。
大企業の中にはすでに生成AIや自動化ツールを活用して省力化・効率化を進めており、「採用で補う」だけでは大企業との生産性格差が広がり続けることになります。
この2つの圧力に対して、デジタル化・AI活用はある意味「守りの投資」といえます。
人が増やせないなら、ツールや仕組みで補う。コストが上がるなら、効率で吸収する。
——こうした経営判断を支援するために、国は補助金を拡充しようとしています。
まとめ
補助金名の改称は、これからやるべき投資の始まりの合図といえます。
国が「AI基本計画」を閣議決定し、補助金の名称に「AI」を冠したことは、中小企業のデジタル化・AI活用がいよいよ政策の本流に入ったことを意味します。
大企業だけがAIを使い、中小企業は従来通りの業務オペレーションを続けるといった二極化が進めば、さらに中小企業が不利な立場に追い込まれかねません。
補助金は「お金がもらえる制度」なのではなく、「事業の次のステージへの投資を後押しする制度」なのです。









